コモディティ 貴金属

2017年金市場の展望

欧州投資家の「選挙」逃避資金の受け皿へ

トランプ次期大統領は、大規模な所得税と法人税の減税と公共投資を実施するとする経済政策を掲げていることから、米大統領選挙以降、景気拡大への期待からマーケットはリスクオンとなり、「トランプショック」への警戒が強かった選挙前から一気に「トランプラリー」と様変わりした。投資資金は、米株式市場へと集まり、債券は売られ、金価格は選挙前の1330ドル台から急落し12月に入ると1120ドル台をつけた。その後、今年12月14日のFOMCで米FRBが一年ぶりの利上げを実施し、政策見通しでは17年に合計3回の利上げを中心シナリオとして見込んだことも売り材料となった。

世界の需給は

世界の需要は、主にアジアの宝石需要鈍化の影響をうけて減少を続けており、昨年比で18%減少している。インドの宝飾品需要は前年比-30%(7-9月期、前年同期比)、中国は前年比-18%(同)と、世界ベースでは、2009年来の低水準にある。17年の需要は、インドが宝飾品業界のストライキをうけて買い控えている動きがあったことや中国経済鈍化への懸念が緩和することを考慮すると、当社は、前年比+140トンの3,800トン程度まで増加すると予想する。

供給については、為替の影響や原油安の影響をうけて金の生産業界はコスト削減の恩恵をうけたが、ここ数年、鉱山への新規投資が減少していることを勘案すると、当社は、2017年の生産量は前年比-200トンの2,800トンまで減少し、供給量全体としては前年比-250トンの3,500トンと予想する。

リスクオン相場の影響は

17年も米トランプ政権への期待から米株式主導のリスクオン相場はしばらく続き、米FRBによる利上げが数回実施されることが見込まれていることを考慮すると、17年も金ETFからの資金流出やファンドのロングポジションの縮小が上値を押さえる展開はしばらく続くであろう。しかしながら、3月にオランダで総選挙、4月・5月にはフランスで大統領選挙、6月には同国総選挙、8~10月にはドイツの総選挙が予定されていることを考慮すると逃避資金や分散目的の投資資金がETF経由で流入することが想定されよう。

総じて

当社は、米FRBの利上げは2回にとどまると予想しており、今年見られた投機筋のショートポジションの増加ペースは続かず、投機筋の利食い(ショートポジションの買戻し)は前年より大きなものとなることを認識する必要があろう。

金価格見通し

林田貴士(はやしだたかし)

アースエレメンツ・アドバイザーズ/リサーチ 2016年12月21日

2017年金市場の展望 2016年12月PDF


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