エネルギー コモディティ

原油市場の見通し2016年3月

原油

過剰供給の解消は10月-12月から本格化

  • 足元ではWTIは2月11日に26.05ドルまで下落し、その後「ダブルボトム」を形成し反転したが、これは、イラク、ナイジェリアからの一時的な輸出減少に起因しており、過剰供給解消の本格化は10月-12月からとなる見通し。
  • 今年の世界の石油需要の伸び率は、中国需要は鈍化が続くが、米国及びインドなどの新興国の需要増加により前年比+120万バレル/日の増加となり、今年後半には伸び率は縮小するが+100万バレル/日は維持する見通し。イランの増産凍結への協調は生産量が制裁前の水準まで回復するまでは期待できない為、OPEC加盟国/非加盟国の増産凍結合意の影響は限定的となることが予想される。しかし、当社はサウジが実質徐々に減産を始めることを予想しており、OPECの生産量は、現在の3,170万バレル/日程度から3,200万バレル/日へ僅かな伸び(+30万バレル/日)に留まる見通し。一方で、OPEC非加盟国の生産量は、米国の生産量が今年後半には前年比-50万バレル/日となり、年平均で-30万バレル/日を予想。総じて、2016年の世界の石油供給量合計の伸び率は、ほぼフラット(横ばい)となると予想する。
  • イラン産原油の供給量は、現在335万バレル/日程度から年末までに360万バレル/日程度まで増加する見通し。また、市場への供給が直ちに可能なFloating Storage(海上にあるタンカーに備蓄されている原油在庫)が推定3,000万バレル程度存在することも原油価格(特にブレント原油)の上値を限定する圧力となるであろう。
  • 米シェールオイル生産者の平均生産コストはWTI=40-45ドル/バレル程度であることやリグ当たりの生産効率の改善が徐々に限界に近づいているため、米原油生産量の伸び率は10月-12月期には前年割れとなると予想する。しかしながら、メキシコ湾岸地域のオフショア油田から生産量が堅調であることやWTI価格が50-55ドルでは売りヘッジ(生産者によるヘッジ取引)が活発となることが予想され、価格上昇(特に急速な上昇)を阻む要因となろう。
  • 一方で、航空業界など主要な石油需要家による買いヘッジ(需要家によるヘッジ取引)がWTI期近=30ドル台前半(1年先の先物で40ドル台前半)が続くと活発となることが予想され、マーケットを下支えするであろう。
  • イラク北部(クルディスタン)の60万バレル/日の輸送パイプラインが停止、ナイジェリア南西部(ニジェールデルタ)の輸出港のパイプライン操業停止などによる供給の減少は4月中に解消される見込みであるが、現在約40万バレル/日を市場に供給しているリビアなどの地政学リスクによる供給懸念は完全に払拭できない状況が続く公算である。
  • マクロ経済の観点からは、英国の欧州連合(EU)からの離脱(Brexit)を問う国民投票が、6月23日に実施される予定であり、離脱の場合、英国、EUともに少なくとも短期的にはネガティブ要因とみられている為、リスクオフ要因となる可能性が高い。また、米国利上げは市場予想では年末までに1-2回とみられているが、早期の実施また、3-4回実施された場合、コモディティ市場全体的に短期的な売り要因となろう。
  • 今年半ばまでは、米原油在庫の高い水準、及びイラン産原油の市場復帰(特に上述のFloating Storage)により上値の重い展開が続き、短期的にはWTIは30ドル程度までの下落リスクは持続すると予想する。今年10-12月には、米シェールオイル生産量の減少と、主にインドなどの新興国の需要の伸びにより、グローバル市場の過剰在庫は徐々に減少し、現物市場の需給環境は改善に向かうと予想する。当社は、原油価格は、9月までにはボトムアウトすると予想し、向こう12ヵ月でWTIは、30‐50、ブレントは、32‐50ドル/バレルのレンジで推移すると予想する。

アースエレメンツ・アドバイザーズ/リサーチ 2016年4月11日

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