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原油市場=イラン制裁解除のインパクト

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原油市場=イラン制裁解除のインパクト

  • 月初めに、中国株式相場が急落したことを受けて、昨年の8月と同様に米株式市場とともに原油市場もリスクオフの煽りを受けて、WTI期近先物は当面のサポートとみられていた30ドルを割り込んだ。
  • 国際原子力機関(IAEA)が1月16日に、イランが昨年7月の合意に基づき核開発を縮小したことを確認したと発表すると、イランと米英独仏中ロの6カ国は同日、核問題を巡るイランへの制裁を解除すると発表した。昨年末の段階では、市場関係者の間で3月-4月とみられていた同国の原油供給の開始時期が大幅には早まったことがサプライズとなり、年初から売られていた原油相場はさらに売り込まれ、WTI期近先物は2003年5月以来、約12年8か月ぶりの安値となる26.19ドルまで下落した。
  • 1月最終週に入ると、WTIが重要なテクニカルサポートとなる26ドル付近まで下落したことや、ブレント原油先物の仕様変更により満期日が早まることなどの要因が重なり、ショートカバーによる買戻しが始まった。
  • サウジアラビアが他OPEC加盟国、及びロシアなど非OPEC産油国と5%程度の協調減産を協議する準備をしていると報じられると、ショートカバーは加速し、WTI期近先物は一時34ドル台まで回復した。また、ベネズエラもロシアを訪問し、具体的な提案をすると報じられたことも買戻しの材料となった。
  • 1975年に導入された米原油禁輸規制が解除され、同国の輸出解禁が決まると、WTIとブレントのスプレッド(価格差)は、一時-1.80ドル台まで縮小(WTI>ブレント)した。しかし、協調減産のニュースによりショートカバーによる買戻しにより期近ベースではブレントが再びWTIを上回り1.12まで拡大した。

今後の焦点は、イラン産原油の輸出量データ

  • イランへの制裁が解除されたことで同国産原油の輸出が始まったが、今後、最も警戒されている4000-4200万バレル程度とされているFloating Storageの実際の輸出量に当面の注目が集まる。その後は、1年で100万バレル程度とみられている同国輸出量の実際の拡大ペースがグローバル市場における現物の需給環境を見極める上で重要となろう。
  • 現時点で実行の可能性が疑問視されてはいるOPEC、ロシア、ベネズエラが仮に報じられている通り減産に踏み切った場合、減産幅は50万バレル程度となる見込みである。但し、イランが減産に応じる姿勢をみせていない以上、同国による供給増加分(1年100万バレル程度)を相殺するにも不十分とみられる。
  • ただ短期的には、OPEC緊急会合開催に向けた動きや協調減産の可能性が少しでも浮上した場合、投機筋の売りポジションが膨らんでいる環境においては、ショートカバーにより短期的に上昇する可能性もあろう。
  • 30ドルと25ドルストライク(=権利行使価格)のプットオプションの出来高が史上最高水準に達していることで、オプションの出し手(金融機関等)によるヘッジ玉(ガンマヘッジ)等によりボラティリティ(変動率)は著しく上昇しており、今後もボラティリティの高い展開はしばらく続くとみられる。
  • WTIの取引レンジは、WTIは25/26ドルから35/36ドルを予想する。OPEC緊急会合や協調減産の可能性が浮上した場合、一時的には40ドル台まで上昇する可能性も警戒する必要があろう。一方で25ドルを割り込んだ場合、17ドルをにらんだCTAの売りやオプションのヘッジ玉により20ドル近辺まで一時的に下落する局面もあろう。

アースエレメンツ・アドバイザーズ/リサーチ 2016年1月31日

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