エネルギー コモディティ

原油市場=OPEC総会について

原油市場=OPEC総会について

OPEC=石油輸出国機構は6月2日に、オーストリアのウィーンで総会を開き、世界経済の見通しや加盟国全体の生産量について協議した。

    ポイント

  • イランの生産量が増加していることや地政学要因によりリビヤなどの生産量が重大な影響を受けていることを理由に、OPEC加盟国の生産量に目標(上限)を設定することは現時点では困難であるとの結論に至った。
  • 加盟国の多くは、需給の均衡化に向かっていることを評価しながらも、現状(50ドル付近)では公正(fair)な価格とは評価していない模様。
  • 将来的に国別に生産枠を設けるかたちで新生産枠を設定することには前向きであると、イラン石油相の発言として総会前に報じられたが、今回の総会では未合意。
  • 今回の総会で、イランは制裁前の水準まで生産量が回復するまでは、新生産枠を含めて新たな合意には、以前から変わらず否定的であることが確認された。
  • 8月1日からモハメド・バルキンド(Mohammed Barkindo)が現職のアブドラ・サレム・バドリ(Abdalla Salem El-Badri)に代わりOPEC次期事務局長に就任することが決定した。バルキンド氏は、ナイジェリア出身でナイジェリア国営石油会社の旧経営陣であり、2006年にOPEC議長経験を持っている。

今後の原油相場の焦点

    ブル(相場上昇)要因

  • 中国の石油輸入量は戦略備蓄の積み増しを背景に、年初から746万バレル/日と約12%増加しており、またインドの輸入量は堅調なガソリン需要などを背景に、年初から431万バレル/日と前年比約16%と堅調である。これらの石油需要は、昨年末時点の市場コンセンサスを上回っており、今後も相場を下支えする効果は持続する見通しである。
  • 米労働省が3日発表した雇用統計によると、5月の非農業部門雇用者数は前月比3万8000人増加し、増加幅は2010年9月以来で最少となり市場コンセンサスを大幅に下回った。これは、6月または7月の利上げの可能性が後退したことを意味しており、短期的にはドル安に振れることで、ドル建てのコモディティ市場に投機マネーが流入する可能性があろう。
  • ベア(相場下落)要因

  • グローバル原油市場で地政学要因により減少している供給量は、カナダ、リビヤ、ナイジリアを含めて合計約360万バレル/日であり、これは2014年来の高水準となっているが、そのうちカナダ及びリビヤの生産量の大部分である100万バレル近くが6/7月にかけて市場復帰する見通しである。
  • イランの生産量は、現時点で380万バレル/日(同国石油相発言)に達しており、近い将来400万バレル/日に達する見込みである。また、今年、年初時点で3000万バレル程度存在することが確認されていた同国の海上在庫(Floating Storage)は完全には解消されていない。
  • サウジは、夏場の冷房需要にそなえて国内向け生産量と輸出量を同時に引き上げる見通しであり、5月に1,025万バレル/日とされる同国の生産量は、今後さらに増加する可能性がある。また、IEA(国際エネルギー機関)の月次レポートによると、この夏、日量最大2.5bcfのWasitガスプロジェクトからのガス供給が増加する見通しであることを考慮すると、同国の原油生産量は上振れする可能性はさらに高まる。
  • テクニカル面では、WTI期近先物は5月26日と31日に「ダブルトップ」を形成した可能性が高く、短期的には相場の重石になるとみられる。
  • 総じて

  • 今後、6/7月の米利上げが見送られ投機マネーが原油市場へ流入する可能性はあるが、上述のとおりファンダメンタル及びテクニカル面での弱さを考慮すると、WTI原油の現在の上昇はこのまま60-70ドルレンジまで上昇を続ける可能性は低く、短期的に43-47ドルのレンジまで調整する可能性があろう。さらに、米シェール事業者の損益分岐点は50-55ドル付近にあるとされていることから、原油相場が50ドルを上回る局面では、米原油生産量の下落ペースは鈍化する可能性もあり、現在の原油相場の上昇は長期的には持続しないとの見方が強い。

アースエレメンツ・アドバイザーズ/リサーチ 2016年6月4日

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