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2017年原油市場の展望

原油

現物需給は改善も、米シェールが増産加速へ

17年原油相場に最も大きな影響を与える要因は、OPEC加盟国と非OPEC産油国の間で決定された協調減産の進捗である。16年11月30日のOPEC総会では、日量120万バレルの減産に合意し、その後ロシアなど非OPEC加盟国も60万バレル/日減産することに合意し、減産規模は180万バレル/日となった。減産は来年1月から6カ月間とし、今後、市場動向を踏まえて延長も検討されることとなった。OPEC加盟国による過去の生産枠順守率が85~90%であり、またロシアの石油各社の減産への対応に不透明感が残ることなどを考慮すると、当社は、実質の減産幅は140万バレル/日程度に留まると予想する。

ロシア、リビアがカギを握る

ロシアの生産量は、今年(16年)12月には日量1130万に達する公算であり、この約30年ぶりの高水準を減産の起点とするとしている。また減産方法の詳細については、石油各社の「自主性」に委ねられていることを考慮すると、当社は、減産の実効性は乏しく、また来年後半から同国生産量は増加に転じると予想する。

リビアでは、16年12月にトリポリ統一政府と地元勢力の合意に基づき、主要油田のパイプラインが再稼働することが決まった。同国の生産量は、地政学リスクにより不確実性が引き続き高いものとなるが、当社は17年の生産量は60万バレル/日(+/-30万バレル/日)と予想する。リビアはOPECの減産合意から免除されていることも考慮すると、同国の生産量が上振れした場合、グローバル現物市場における供給量の上振れリスク(価格下落リスク)に繋がると予想する。

シェールの増産

米シェールの生産コストは45-55ドル/バレルにあるとみられており、OPEC総会後には米シェール生産業者の売りヘッジは再び活発となった。当社は、米シェールの牽引役である低コスト油田PERMIAN BASINは、年末までに70万バレル/日程度の増産となると見込んでいる。現在900万バレル/日を下回っている米国原油生産量の減少は止まり、2017年末には920万バレル/日程度に増加に転じるであろう。

原油市場の見通し

17年の世界の石油需要は、欧州では鈍化する公算であるが、堅調な米経済の恩恵を受けてガソリン需要は増加し、また、主に中国、インドなど新興国のガソリン、ナフサ、LPGなど軽質石油製品需要も増加することにより、16年とほぼ同じ伸び率の+120万バレル/日となると予想する。一方、供給面では、上述の通り、ロシア、米シェールオイルの生産は増加に転じる公算であり、また、カザフスタンやブラジルのディープウォーターなどによる供給増産を考慮すると、当社は、非OPEC加盟国全体の供給量は+75万バレル/日となると予想する。総じて、現物在庫は来年7月-9月には均衡化し、10月-12月には前年比で減少に転じ、需給バランスは改善されるであろう。

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原油市場の動向と見通し2017年2月 ‐ 最新原油見通し

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林田貴士(はやしだたかし)

アースエレメンツ・アドバイザーズ/リサーチ 2016年12月21日

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