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2017年銅市場の展望

銅

トランポノミクスではなく中国需要がカギを握る

米大統領選挙直前の10月から銅のスポット価格は急騰し、4600ドル/トン(COMEX期近先物2.10ドル台)付近から6000ドル/トン(COMEX期近先物2.70ドル台)近くまで上昇した。LMEスポット価格の週間ベースの上昇率としては35年ぶりの上昇率となった。

上昇要因

ドナルド・トランプ次期大統領は、10年間で一兆ドルの公共事業をおこないインフラ整備に充てることをかかげていることから、その恩恵を受けるとの思惑から投機資金が流入したことが要因の一つであろう。

しかしながら、もうひとつの大きな要因は、中国経済の持ち直しである。中国国家統計局が10月19日発表した2016年7~9月期の実質GDPは、前年同期比6.7%増えた。固定資産投資は1~9月に前年同期比8.2%増、このうち不動産投資は1~9月に5.8%増となり、投資部門は1~6月より伸びが縮小したが、不動産販売は好調であった。これが特にファンド勢による銅買いを誘発したもう一つの大きな要因であろう。

中国の需要

中国の現物需要は、ファイナンシングディール(現物担保融資スキーム)への政府による調査の本格化などから、15年は縮小したが、16年は政府のインフラ投資の恩恵をうけて増加に転じており前年比9%ペースで増加している

中国国家統計局が12月13日発表した11月の主要経済統計では、固定資産投資は1~11月の累計で前年同期比8.3%増と1~10月と横ばい。中国政府は過剰生産設備の整理、淘汰を進めながら景気を下支えする難しいかじ取りを迫られているが、当面は振るわない民間投資を国有企業が受注する公共投資で補うという姿勢は17年を通して継続するとみられる。不動産バブルへのリスクは今後さらに上昇する懸念もあるが、当社は、17年秋の共産党大会を控えていることを勘案すると、景気を下支えするための公共投資は優先されると予想する。

17年の中国の需要は、送電線の整備と高速鉄道建設に伴い増加を続け、前年比4%増加すると予想する。また世界の需要は、主に中国の需要に牽引される形で前年比3%増加すると予想する。

生産量は

供給面では、英豪・BHPビリトンはチリ、オーストラリアで生産量を増やしており、またチリCaserones鉱山、カザフスタンのBozshakol鉱山などの新規プロジェクト、インドネシアのグラスベルグ鉱山の再開発などにより生産能力は拡大している。ただし、直近でおきたペルーのストや南オーストラリアの全州におよぶ大規模停電などにみられたとおり、今後も操業トラブルが発生することなどを考慮すると、当社は、世界全体の生産量は、前年比3%程度の増加にととまる予想する。

総じて

総じて、17年の銅価格は供給過剰能力への懸念やファンドの利食い売りのリスクにより一定の価格下落圧力はのこるものの、中国のインフラ投資による需要増加の恩恵を受け、底堅い展開が予想される。

銅価格見通し

林田貴士(はやしだたかし)

アースエレメンツ・アドバイザーズ/リサーチ 2016年12月21日

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