株式 欧州株

2017年欧州株式市場の展望

欧州株

「選挙の年」によりボラタイルな局面も

欧州中央銀行(ECB)は、12月8日に、QEでの購入月額を600億ユーロ(約7兆2650億円)にすることを決定し、これまでの800億ユーロから減らした。一方で、期間は市場コンセンサスよりも3カ月長く延長し2017年末までとし、再延長に含みを持たせた。当面は実質的に金融緩和環境が続くことを示唆する内容となり、12月に入り欧州株価(STOXX欧州600種)は11カ月ぶりの高値で取引されている。ただし、17年後半からはテーパリングにともなう金利上昇リスクへの警戒感は強くなると予想する。

選挙の影響

欧州は、3月にオランダで総選挙、4月・5月にはフランスで大統領選挙、6月には同国議会選挙、8~10月にはドイツの総選挙が予定されており、EU離脱派が優勢となれば、リスク回避の動きにも警戒が必要な年になろう。仏大統領選挙では、極右政党の国民戦線のマリーヌ・ル・ペン党首は、移民排斥を求める有権者が増えている中、人気が根強い。同氏が当選した場合、基本シナリオではないが、EU離脱が現実味を帯びることになり、EU全体の体制維持に対する懸念が高まるであろう。またイタリアでは憲法改正の国民投票の結果をうけて、レンツィ首相が辞任を表明したが、銀行の不良債権処理や財政再建への懸念が高まりやすい状況が今後も続くと予想する。

欧州全体としては、市場は政治リスクなどに対する耐性を強めており、17年も好調な企業業績が個人消費や設備投資の拡大につながり、内需主導の緩やかな成長が続く見通しである。ただし、輸出の落ち込みは、ユーロ安の恩恵をうけながらも経済成長の足枷になるであろう。

各国の経済

ドイツ、フランス、イタリア、スペインは投資の拡大が景気を下支えするであろう。また、フランス、スペインは、雇用が改善し、個人消費の拡大に寄与するであろう。イギリスは消費中心の回復が続いているが、17年は、センチメントの悪化により企業の雇用、投資意欲は引き続き低調となると予想する。

中東欧では、景気対策の恩恵をうけて消費中心の緩やかな景気拡大が見込まれる。ポーランドでは児童手当と早期退職制度、チェコでは公共セクターの賃上げ、社会給付、ハンガリーでは、食品・飲食サービス・IT・建設の分野で付加価値税の減税などが経済成長に寄与するであろう。

総じて

株価は、内需主導の経済成長の伸びにより緩やかに上昇すると予想する。ただし、フランス選挙などの政治リスクやテーパリング(量的緩和策による金融資産買い入れ額の縮小)にともなう金利急騰リスクなどへの懸念から一時的な調整リスクには配慮が必要な展開となろう。

<選挙日程>
17年3月15日オランダ総選挙/3月ドイツ地方選(ザールラント州)/4月23日・5月7日フランス大統領選/5月17日ドイツ地方選(シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州とノルトライン=ヴェストファーレン州)/6月11日・18日フランス議会選/9月24日ドイツ連邦議会選

欧州株価見通し

林田貴士(はやしだたかし)

アースエレメンツ・アドバイザーズ/リサーチ 2016年12月21日

2017年欧州株式市場の展望 2016年12月PDF


スポンサーリンク

本サイトに掲載のすべての情報はあくまでも情報提供を目的としており、取引や投資に関する判断は利用者ご自身の判断でなさるようお願いいたします。これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社及び本情報提供者は一切の責任を負いませんので予めご了承ください。