コモディティ バルク

2017年石炭・鉄鉱石市場の展望

鉄鉱石

16年は好調であった石炭・鉄鉱石価格

バルクコモディティー(石炭・鉄鉱石)の価格は2016年に堅調に推移したが、17年に入り石炭価格は既に下落し始めている。中国の生産規制が和らいだことで生産が増加したことが影響してきている。中国の景気減速に伴って、今年建設活動が軟化すれば、鉄鋼需要が減少することが予想され、鉄鋼価格と相関の高い鉄鉱石価格も同様に軟調な展開が予想される。

石炭市場:中国のエネルギー政策が鍵に

燃料炭のスポット価格(豪州渡し)は、原料炭ほどのペースではないが、2016年の下半期に急速に回復した。豪州ニューカッスル港出し一般炭 FOB 価格は11月にトン当たり110ドル近辺まで上昇し、その後、供給が回復し、現在は80ドル台で推移している。一方、原料炭のスポット価格は2016年11月にトン当たり約300ドルとピークをつけた後、中国からの供給が緩和し、スポット価格は急速に下落している。

中国の燃料炭と原料炭の生産量をは、2016年に前年比8.7%減少の約33億トンとなった。2013年の約40億トンをピークとし、その後減少している。中国ではエネルギーを石炭から石油、天然ガス、再生可能エネルギーへシフトさせている。2016年に政府は、国内生産者の利益率改善を目指し、春先以降、探鉱の操業日数を年間330日から276日以下に制限する措置を導入した。しかし、11月半ばに、中国国家発展改革委員会(NDRC)は3月半ばまでの暖房需要期が終わるまで、この規制を緩和すると発表した。その結果、石炭価格は一転して急落し、中国の政策に振り回されている状態となっている。

2016年、中国では自国内の生産減少を補うため、燃料炭輸入は増加した。2016年の輸入量は前年から26%増加し1.96億トンであった。しかし、2013年以降国内需要は減少傾向にあり、今回の増加は一時的であることが予想される。原料炭輸入は前年から24%増加し5,900万トンとなった。

中国以外の石炭消費国の輸入は弱い。インドでは、国内の石炭生産が増加していることもあり、輸入は2016年に約9%減少し、1.45億トンとなった。しかし、今後原料炭輸入税が撤廃されれば、輸入は増加する可能性もある。同様に、日本の発電用燃料炭輸入は東日本大震災後の4年間、高水準が続いたが、2016年はそこから3.4%減少した。

世界においてクリーンエネルギーへ移行する取り組みが行われているが、新興国の需要は旺盛であり、それを満たす必要があることから、オーストラリアの石炭輸出は過去数年に渡り堅調である。米国、カナダ、オーストラリアといった原料炭生産国では、高コスト生産設備の閉鎖の動きもあったが、現在原料炭価格は下げ止まるといういう見方もあり、今年の生産量は増加する可能性もある。


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石炭価格の見通し

中国の国内石炭生産に対する今後の政策が不透明であり、今後注視する必要があろう。現在豪州ニューカッスル港出し一般炭 FOB 価格 はトン当たり80ドル近辺にあるが、今後、中国政府の政策によっては、価格は上振れリスクがあるものの、2017年度後半には70ドル台になると予想している。

石炭(燃料炭)・鉄鉱石価格の見通し

鉄鉱石市場:中国の住宅市場に注目

鉄鉱石価格(鉄分62%CFR青島港)は2016年後半に急上昇した。特に10月半ばから11月半ばにかけては、中国で鉄鉱石在庫が増加しているにも関わらず、トン当たり約55ドルから80ドルに上昇した。

鉄鉱石価格と中国の鉄鋼消費の相関は高い。2013年や2014年に比べると鉄鋼消費の水準はまだ低いが、2016年前半に中国では融資主導の建設ブームが起こった。中国政府は不動産価格の極度な上昇とそれに伴う建設ブームを懸念しており、住宅市場では規制強化が行われた(購入や住宅ローンの要件を引き上げる等)。これらの規制はある程度不動産価格の上昇率を軟化させたが、まだ建設セクターへの影響は見られない。しかし、2017年にはこの対策の効果が見られる見通しであり、中国の鉄鋼需要は減少する見通しである。

2016年の中国の鉄鋼輸出は3.0%減少し、1.09億トンとなった(若しくは鉄鋼生産合計の13.5%)。7月までは輸出は増加していたが、その後、米国とEUで5月と7月に導入された鉄鋼関税の影響が出た。中国による鉄鋼のダンピングは世界市場で批判されており、各国が今後対策を講じる可能性があることを考慮すると、中国の輸出は短期的には弱く推移すると予想する。

長期的には鉄鋼生産能力削減努力の影響が現れると予想する。昨年、中国国務院は2020年までに粗鋼生産能力を1億トンから1.5億トン削減すると発表した。国家発展改革委員会によると、2016年の目標である4,500万トンの削減は10月までに達成されたようである。中国政府は大気汚染の問題に取り組んでおり、中国で1億トンと言われている違法鉄鋼生産設備を廃止する動きもある。

2016年、世界最大の鉄鉱石生産国である中国(大半は自国消費)の国内鉄鉱石生産は前年比5.7%減少の13億トンとなった(ピークは2014年の15億トン)。しかし、鉄鉱石価格回復を受けて、今後生産を増やす可能性もみておく必要があろう。

世界最大の鉄鉱石輸出国であるオーストラリアの鉄鉱石輸出の伸び率が12月に二桁となりサプライズとなった。オーストラリア産鉄鉱石の約8割が中国に輸出されている。鉄鉱石価格の上昇を受けて輸出は好調だが、オーストラリアでは今年サイクロンの数が平均以上となることが予想されており、短期的にはこれが輸出を圧迫する要因となる可能性もある。

鉄鉱石価格の見通し

当社は、2017年を通して、中国の鉄鋼需要は減少すると予想し、その影響により鉄鉱石価格(鉄分62%CFR青島港)はトン当たり65ドルまで下落すると予想する。

石炭(燃料炭)・鉄鉱石価格の見通し

林田貴士(はやしだたかし)

アースエレメンツ・アドバイザーズ/リサーチ 2017年2月7日


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