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ドナルド・トランプ米大統領 パリ協定からの離脱を表明

パリ、エッフェル塔

トランプ米大統領 パリ協定からの離脱を表明

ドナルド・トランプ米大統領は1日、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から米国が離脱することを明らかにした。

トランプ大統領は、パリ協定を「米国の産業や労働者の利益を損なうもの」と批判し、「米国(の国益)が守られるのであれば、パリ協定への再加入、または新しい協定の交渉を検討する」と話した。

オバマ前政権が、協定に基づいて掲げた温室効果ガスの削減目標「2020年に05年比で26~28%減」の公約を取り消すことも決めた。途上国の温暖化対策として約束した国連の「緑の気候基金(グリーン・クライメート・ファンド)」への拠出金も即座に停止する。

トランプ氏は、公約を守り、パリ協定を離脱することを決めたことで、低中所得層、労働者階級や、国連のような国際組織に対し懐疑的な意見を持つ保守層の有権者などから支持を受けることが予想される。

短期的には、パリ協定は法的拘束力がないため、経済面での影響は限定されるとみられる。協定では各国が独自に国内の削減目標を決め、国内法や規制を使って達成すべきとしているため、離脱は、直ちに米国企業にメリットをもたらすわけではない。

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米国の多くの企業は、環境保全の責任を果たすため、投資をおこない、株主や消費者にアピールし、企業価値を向上させてきた。政府が、突如方針を転換すれば、投資計画の見直しを迫られ、投資家からは不満の声があがるであろう。また、新たな投資計画を策定する際に、現政権の意向をどこまで反映し、見直すべきか、多くの企業にとって難しい判断となるであろう。

米国内の石油産業、石炭産業に対する政策や、排ガス規制などの規制について、他国からの圧力を受けにくくなることが予想される。そして、米国内の石油産業、石炭産業にとっては、規制が緩和されれば、掘削・開発・生産など事業を展開しやすくなるメリットを受けられる側面もあろう。

ただ、石油産業や石炭産業は、そもそも、掘削・開発・生産に関する規制よりも、原油価格、石炭価格が事業の採算を左右する最大の要因となっているため、業界全体としては、規制緩和により、産業が自動的に潤うことはない。石油産業では、原油価格が急落した昨年は、多くの中小規模の石油開発企業が破綻した。また、石炭産業が縮小を続けている最大の要因は、競合する燃料である天然ガス価格が石炭価格を下回ったことで、石炭から天然ガスへと燃料転換が進んだためだ。

一方で、米国が失うものは大きい。最近まで米政府が最優先で取り組んできた協定から早々と脱退したことで、欧州や中国などだけでなく世界各国は、米国と長期的な合意を結ぶことにちゅうちょし、トランプ政権に不信感を持ち始めるであろう。そして、長期的には、環境問題のみならず、経済・貿易など様々な面において、国際社会における米国のリーダーシップが相対的に低下することにつながるであろう。

離脱のスケジュールについては、正式な離脱は、協定の規定で、発効3年後の2019年11月4日から可能となっているため、手続きに要する期間を考慮すると、米国の離脱は次期大統領選後の20年11月以降となる。ただ、気候変動に関する国連会議を含め、地球温暖化問題に関する協議や交渉の場で、米国の発言力が失われるのは必至だ。

世界各国の反応

イタリア、フランス、ドイツの3カ国は、トランプ大統領がパリ協定から離脱する表明をおこなった直後に、共同声明を発表した。3カ国首脳は、「2015年の協定採択時の機運を逆戻りさせることはできず、パリ協定は地球、社会、経済にとって非常に重要で、再交渉は不可能だと確信している」と発表した。

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経済界の反応

トランプ大統領がパリ協定からの離脱表明をおこなった直後に、以下のようなツイートがあった。

イーロン・マスク テスラモーターズ スペースX CEO - ツイッターより

私は、経済助言チームを離脱する。気候変動は現実の問題だ。パリ協定の離脱は、アメリカにとっても、世界にとってもよくない。



ジェフリー・イメルト ゼネラル・エレクトリック(GE)CEO - ツイッターより

今日のパリ協定に関する決定には失望した。気候変動は現実の問題だ。今後、政府を頼りにしないで、産業がリードをしていくべきだ。

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